文書の保存期間や廃棄のルール「文書管理基準(マニュアル)」の作り方事例

村橋りえ

オフィスの整理整頓で一番時間がかかるのは「書類とデータ」の整理
小さな会社の場合、どの書類をいつまで保存するべきかのルールが担当者任せになっていたり、ルールがあっても明文化されていないことも。会社のルールなしで、社員個人に廃棄基準を任せてしまうと、必要なときにデータがないなどのリスクがあります。

今回は、都内に本社を構える 社員20名のサービス業のお客様が文書管理基準マニュアルを作成した事例を、オフィスの5S専門家がご紹介します。小さな会社でもムリなくできる方法ですので、マニュアル作りにぜひお役立てくださいね。

お客さまのお悩み

総務部様のお悩み
✔ファイルサーバーのデータ容量がすぐに足りなくなる
✔社員が書類を整理してくれない
✔デスクの上に書類が溢れている
✔書類棚を増やせば片付くと思っている社員が多い。
✔書類やデータの要不要は、それぞれの社員で判断してほしい。

他の部署様のお悩み
✔ファイルサーバー内のデータを整理したいけれども、どのデータを削除していいいか判断できない。
✔受講した研修資料をいつ廃棄して良いか分からない
✔書類が増えてきたため、書類棚が欲しいと総務にお願いしたが、聞き入れてもらえなかった

以上は、部署別にヒアリングをして伺ったお悩みです。
このままでは解決できないですね。
まずお互いの部署がどのようなお悩みをお持ちかを私からお伝えしました。

そして、以下の対応をご提案しました。
① 会社として保存期限を決めるべき書類を決定し、総務部様が会社の基準を作る。
② ①以外の書類やデータは、各部署で保存期限を決める。
③ ①②を実施した結果、書類棚が追加で必要な場合は、その詳細を各部署でまとめて総務部へ相談する。
これを機に「文書管理基準」を会社としてお作りいただくこととなりました。

文書管理基準の作り方

新たにゼロから作るのではなく、明文化されていないルールを書き出して整理するだけでまずは十分です。以下2つの基準で、洗い出していきます。

1.「法律」で、保存年限が定められている 法定文書
・株主総会議事録
・貸借対照表、損益計算書
・雇用保険や健康保険に関する書類
など、企業が法律を守りながら仕事をしていることを示すために保存することが義務付けられたものを「法定文書」と呼びます。
こちらの企業では、ほとんどが総務部様の管掌文書でした。法定文書名と保存年限、根拠法を写真のように整理するよう、お願いしました。

2.「社内の決まり」で保存年限を定める文書
・会社創業時の資料
・社内の業務報告書
・社員募集を掲載した冊子
・定期購読している業界紙
など、社内で発生すると分かっている文書は 保存年限を定めることで、廃棄が可能になり、オフィスが書類で溢れるのを防げます。とともに、保存年限内に積極的に活用する意識が向上します。
これは、総務部様と役員の方々でお決めいただきました。

決めていただいた文書管理基準は、「就業規則」などのように行政への届け出は不要です。よって、自由に改定することができます。
出来上がったときや改定した時には、顧問弁護士さんや税理士さんに内容を確認していただきましょう。

文書管理基準を社内に共有し、各部署のマニュアルに落とし込む

出来上がった文書管理基準は、社内に共有します。
こちらの企業では、毎月全社員が出席する会議で、総務部様からご説明されました。

会社全体のルールが示された後は、各部署の基準をマニュアルに落とし込んでいきます。
✔ファイルサーバー内のデータを整理したいけれども、どのデータを削除していいいか判断できない。
✔受講した研修資料をいつ廃棄して良いか分からない
✔書類が増えてきたため、書類棚が欲しいと総務にお願いしたが、聞き入れてもらえなかった
というお悩みを、一つずつ解決です。

ファイルサーバー内のデータと資料のうち、管理基準に定めのないものを、部署としての保存年限を決めていきましょう。
忙しい社員も協力してくれる!年内にできる簡単ファイルサーバーのデータ整理方法でもご紹介しましたが、「ナレムコの統計」と言われる米国記録学会が行った調査によると、保存文書は、半年経過すると使用頻度は10%程度となり、1年経過すると1%以下しか使用されないそうです。
迷った場合には、保存年限を今期分と・前期分の2年としてみるといいですよ。

社員数20名~30名の企業の場合、文書管理などのルールが文章になっていないことが多くあります。
ルールを明文化することで、どこまで担当者が判断して良いのかが明確になり、いつも忙しそうな総務さんへの相談も減らすことができますね。
また、ペーパレス化作業の時にも、とても役に立ちます。長い目で見ると生産性向上に必ずつながりますので、ぜひ取り組んでみて下さい。

社内だけでは、課題の洗い出しや対応方針決めが難しいと思われる総務ご担当者様は、こちらから無料メール相談をお受けしています。具体的なお困りごとをメールでお寄せ下さい。また、公式LINEアカウントにご登録いただくと、20問の質問にイエス/ノーで答えるだけで、職場の生産性の特徴がわかるオフィス環境無料ウェブ診断をプレゼントしています。

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参考文献:
基礎から学ぶ トータルファイリング・システム 日本経営協会
文書管理と情報技術BASIC 日本経営協会

この記事を書いた人

村橋りえ

GLAN代表

片づけを通じた職場環境改善の専門家。
1995年津田塾大学卒業後、ヤマト運輸㈱入社。23年間の在籍中には総務・人事を中心とした管理業務やオフィスの5S(美化活動)を担当。2018年同社を退社。2019年起業し、整理収納サービスの提供を開始。記憶に残り次の行動につながるワーク主体のセミナーが好評。
長崎県島原市出身、一児の母。