並び替えだけで探す時間80%減 書類整理やファイル整理で業務効率が改善した事例

整理収納の理論に「使用頻度別収納」という考えがあります。
これは「毎日使うモノを出し入れしやすい場所に収納すると散らかりにくい」ということで、家庭でもオフィスでも使える考えです。
今回は、毎日使う書類の並び順を変えるという小さな改善で大きく業務効率が改善した事例をオフィスの5S専門家がお伝えします。
サービス業の事例 清掃業
- 東京都内に本社を構える社員20名の企業
- パート、アルバイトの方が約150名
- 社長の課題は、社員の生産性を向上させることと、自律自走する社員を育成すること。
- 社員の課題も、生産性を向上させること。しかし、生産性を向上させるために具体的に何をどうしたら良いのか分からないこと。
でした。
Step1:日々の作業で面倒だと感じていることを洗い出す
こちらのお客様の場合、社長同様に社員の課題も生産性を向上させることでした。しかし、具体的に何をどうしたら良いのか分からないご様子。
そこで「生産性」という言葉を使わず、「日々の業務で面倒だと感じていることはどんなことですか?」「時間がかかるなと思う業務は何ですか?」「もっと良い方法がないかなと思っている仕事はありませんか?」と私から質問しました。
約2分の沈黙の後
「返信用の封筒に会社の横判を都度押すのがめんどくさい」
「パートさんの有給残を調べるのが手間」
「できれば、交通費の精算のためだけに会社に戻りたくない」……と。
この作業は、後日お客様だけで行っていただき、面倒なことの洗い出しのために合計3時間も使っていただきました。
こうして、洗い出された課題は30以上もあったんですよ!
課題の洗い出しは、付箋で行いました。
写真は洗い出し途中の様子です。
Step2:課題を洗い出した結果分かったこと
洗い出された課題は、
①自分達の部署だけで解決できることが10個
②解決のために他の部署への確認・相談が必要なことが20個 でした。
①は、通常業務を行いながら無理のない範囲で取り組める計画を立てていただき、2週間ごとに進捗を報告いただきました。
問題は、②です。
他の部署というのが殆ど総務部でしたので、2部署が出席するミーティングをご提案。
一つ一つ合計20個の課題について、
・なぜ今そういう方法になっているか
・要望通り改善することは可能か
を 1時間以上かけて確認することができました。
その結果、このチームがほぼ毎日使う「従業員名簿」の並び順を変えたい!という一番解決したい課題に着手できることになりました!
step3:実行の成果
写真が並び変えた後の書類ファイルです。
ビフォーの写真がないのが残念ですが、もともとは8㎝のファイル2冊にギッシリ入っていました。
それを、5㎝のファイル5冊に分け、どのファイルにどの現場で働いている方の資料が入っているのかがすぐわかるように、背表紙に現場名を記載されています。
ファイル内に余裕ができて、断然探しやすくなったようです。
たったこれだけのことですが、
4人の社員さんがほぼ毎日ご覧になるこの資料を探す時間は
【ビフォー】
毎回約5分程度時間が必要
4人×5分×20日=400分/月
【アフター】
毎回1分程度で探すことができる
4人×1分×20日=80分/月
と大幅に改善され、探す時間は80%減少しました。
まとめ
「毎日使うモノを出し入れしやすく収納する」という使用頻度別収納の考えを実践して、業務効率を向上させた事例をご紹介いたしました。
これが実現できたポイントは3つ、いずれも普段行っていない作業です。
- チームメンバーで課題を徹底的に洗い出したこと
- 他部署への要望や確認を丁寧に行ったこと
- 日々の業務の中にこれを改善すれば「生産性が上がりそう」というものを、社員さんが自ら発見できたこと
でした。
大きなIT投資をしたり、がらりと運用方法を変えなくとも、このような小さな改善で大きな成果を出すことができます。ぜひ皆さんの職場でも、課題の洗い出しから取り組んでみてくださいね。
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